KICK OFF
2026.08.30 SUN ― KDDI TSUNAGU BASE(高輪ゲートウェイ) ―
挑戦者が、高輪ゲートウェイの一室に集まった。早稲田大学・入山章栄教授による「知の探索」をめぐる熱講義。そして一般財団法人始動Next Innovator代表理事 伊佐山元による、AIとDoerの時代を生き抜くための宣言。始動 Next Innovator 12期は、この日動き出した。
SUPPORTED BY
Day1には経済産業省、独立行政法人日本貿易振興機構からもご来賓としてお越しいただき、ご挨拶を賜った。始動 Next Innovator 12期は、民間の枠を越え、国としてもスタートアップ人材の育成を後押しする取り組みとして歩みを進めている。
KEYNOTE VOL.01
知の探索と、
イノベーションの本質。
早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄
“快適な丸の内の会議室で、イノベーションは絶対に起きない。”
日本企業の多くは、短期利益を求めて「知の深化」にばかり偏り、中長期的なイノベーションを枯渇させている ― いわゆる「両利きの経営」問題だ。PBR1倍割れという日本企業共通の課題も、根本のメカニズムは同じだと入山教授は指摘する。
知の探索を実践する、4つの方法。
― 物理的に移動する ― 自分を物理的に遠くへ移動させることが、知の探索のいちばんの近道だ。名だたるイノベーターたちは、例外なく圧倒的な距離を移動している。
― 失敗を恐れない ― 失敗は実績にはならないが、成功を目指す過程には必然的につきまとう。「始動」というコミュニティも「失敗上等」の場だ。
― 多様性のある場に身を置く ― 離れた「知」と「知」の組み合わせこそが、イノベーションには不可欠だ。
― 小さな変化を習慣化する ― いきなり大きなことをしようとしなくていい。変化を常態化することこそが、企業文化として最も重要になる。
センスメイキング・AI時代、これからの人材。
不確実性が高い時代に、「正確な将来予測」は無意味である。重要なのは正確性(accuracy)ではなく、納得性(plausibility)= 腹落ちだ。腹落ちがあるからこそ、人は知の探索を続けられる ― カール・ワイクのセンスメイキング理論を引きながら、入山教授は自らの暗黙知を言語化し、熱く語ることの重要性を説いた(野中郁次郎のSECIモデル)。
“AIは「正解のない中で決断する」「腹落ちする」「直感を持つ」ことが本質的にできない。直感は内臓感覚から生まれるもの ― AIに内臓はない。”
AIにできない仕事とは、世界中を飛び回り、信頼関係を築いてはじめて得られる「インフォーマルな情報」の獲得だ。感情労働(emotional labor)こそが、これからの人間の仕事の核心になる。役割を柔軟に変えながら自由自在に動く、少人数の「海兵隊組織」のようなチームこそが、これからの組織のモデルになっていく。「真面目に考えすぎず、遊ぶ感覚で起業・挑戦する。それが仕事になれば最強」― 入山教授は、そう締めくくった。
KEYNOTE VOL.02
Doerとは何か。
始動からの宣言。
一般財団法人始動 Next Innovator 代表理事 伊佐山 元 氏
ChatGPTはわずか2ヶ月で利用者1億人を突破した。インターネットや携帯電話とは桁違いのスピードだ。AI投資は今年、100兆円を超える見込み ― 日本の国家予算(約120兆円)に匹敵する規模である。AIの推論コストは約2年間で280分の1に低下し、インターネット通信費と同様、AIコストも今後「空気のように安くなる」。伊佐山氏は、この圧倒的なスピード感から講演を始めた。
一般財団法人始動Next Innovator代表理事 伊佐山元
テスラオーナーの約95%が、ほぼ自動運転のみで車を使っている。無人タクシーはシリコンバレーですでにインフラ化し、人型ロボットは今年から月50万円のリースモデルで販売が始まった。Metaは最高益を出しながら8,000人を削減 ― 「言われた通りにやる仕事」の価値は、急速に消えつつある。
“頭の良さやお金よりも、志・情熱・やる気が人を動かし、優秀な人材と資金を引き寄せる。”
一方で、少人数でのスケールはもはや現実だ。当時Cursorは20人以下で売上160億円超、SpaceXに9兆円で買収された。AIによって「やれない理由」はなくなった。エンジニアがいなくてもコーディングでき、言語の壁もAIでほぼ解消される。文系であっても「何をしたいか言語化できる人」が強い時代が来ている。
伊佐山氏自身の軌跡も語られた。大企業からスタンフォードへ留学し、その後シリコンバレーに残留。英語力や存在感の壁を克服し、VC投資家として成功。守りに入った自分を反省し、WiLを共同創業した。WiLのミッションは、ユニコーン輩出ではなく「日本を変える」こと。IT・理系に限らず、医師・教師・文系も含めた起業家教育を、明治維新の志士になぞらえて志す。
VOICES
挑戦者のそれぞれの一日。
受講生アンケートより
入山教授の講義について
“課題に恋するということ。やり続ける人しかイノベーターにはなれない。とても響きました。人に馬鹿にされても、自分が恋した課題を解決することにトライし続けます!”
“魂の講義、という表現がぴったりだと思いました。入山先生のように熱量のある言葉で事業のことを伝えられれば、投資したくなりそうだと感じました。”
伊佐山氏の基調講演について
“とにかくカッコいい!借金をして脱サラし、10年かけて築き上げた地位を捨てて起業。自分には真似できないけれど、自分にしかできないことがあることを信じて突き進みます!
“イノベーションは知性の偉業ではなく、意志(WILL)の偉業である。”
ワールドカフェ ― 同期との出会いについて
“強烈なビジョンを持ってる人にたくさん会えて、刺激になりました!”
“本当に多種多様な方々がいらして、『ダイバーシティとはこのこと!』と思いました。今後が楽しみです!”
Suponsor
挑戦者への機材協力
株式会社 日本HP
スポンサー企業として登壇した株式会社 日本HPは、機材協力という形でプログラムを支える。
HP Z6 G5 A Workstation (CPU: RTP9955WX / Memory: 128GB)
始動 Next Innovator 2026 の挑戦者に対して、ワークステーションが評価機として無料で貸し出される(2台、応募多数の場合は抽選)。挑戦者たちの強力なツールとなる一台が、次のイノベーションの起点になるだろう。
株式会社 日本HPによるワークステーション展示
JOIN THE NEXT
そして、次はあなたの番だ。
始動 Next Innovatorが求めているのは、輝かしい経歴でも、完成された事業計画でもない。この部屋にいた挑戦者も、Day1の朝はただの見知らぬ他人同士だった。共通していたのは、志・情熱・やる気 ― それだけだ。
知の探索に出るか、会議室にとどまるか。次にこの部屋に立つのは、この記事を読んでいるあなたかもしれない。
来年度の募集案内は、始動 Next Innovator HPと公式Facebookからご案内いたします。
始動 Next Innovator 2026